Ⅴ.楽器

Bach Early Elkhart

僕がいまメインで使っているトランペットはBach180ML 37/25という一見ありふれたものですが、1965年製のアーリーエルクハートと呼ばれるヴィンテージモデルです。

Img_6976_7

シリアルナンバーは#31134。創業者Vincent Bach氏が生前、工場をインディアナ州Elkhartに移転して間もない頃のハンドメイド楽器です。
長年信頼を寄せている「TAO」で購入。

現行Bachストラドとの違いは、2ピース構造のバルブケースや1番トリガーがないことなど一目でわかるものもありますが、それよりも僕が感じるのは“手作りならではの繊細さ”です。
例えばピストンケースとスライドの接合ですが、写真は1番管の接合部で、左が現行Bach、右はアーリーエルク(トリガーがない)のものです。Img_74362 アーリーエルクは枝管に遊びを持たせておらず、ピッタリと接合されています。他の部分も、各部品が非常に丁寧に組み付けられており、ズレや傾き、ハンダのはみ出しがありません。それらのおかげで、楽器を持つと現行Bachより幾分細身に感じられるほどです。

Img_6957_4面白いのが、この楽器のベルの縁に“角”がついていること(上画像をクリックすると拡大します)。フレンチビードのように平たく折曲げられていないので、真金は通常の断面が真円のものでしょう。これはおそらくマウントバーノン(Elkhartに移転させる前にBach工場があった場所…ニューヨーク州Mt.Vernon)時代のベルで、フレンチビードの芯金を入れる為に前もって折曲げてあったものに通常の真金を入れたのではないか、と思います。
他にも1番管の構造、ベル前方寄りの大きな延座、などニューヨーク〜マウントバーノン期の面影を残していて、このガラパゴス感に何ともいえない魅力を感じています。それらの影響か、現代の楽器にはない“あの時代のラッパの音”が確かにあり、トラッド・ジャズを演る者としてはそれがこの楽器の最大の魅力です。

ただちょっと心配なのは、ピストン内部の無数の錆。何度かこの錆から穴が空いて息漏れを起こしています。Img_74272 今のところ発見次第アロンアルファで埋めていますが(毎日暇さえあれば虫めがねと針で錆穴をチェックしています)、ゆくゆくは別のピストンを流用することになるかもしれません…アーリーエルクのピストンにはシリアルナンバーが刻印されているので、なるべくこのまま使いたいですが。

手打ちの刻印や飴色に変色したラッカー、手作りの温もり、それに多少手間がかかることも含めてヴィンテージ楽器を楽しんでいます。
このアーリーエルクを手に入れた43歳の誕生日、ただ上手くなりたかったこれまでの自分とはお別れをしました。

|

C.C.シャイニー・エアロケース

トランペットのケースは色々なものが世に出回っていますが、僕は“コンパクトなシングル・ハードケースが良い”と思っています。 楽器以外の荷物量はその都度違うので、一緒にしようとせず別の鞄を用意して調整しています。
僕が使っているケースは、これです。

Img_6477_2

C.C.シャイニー・エアロケースと同じものですが、“Eastman”というステッカーが貼ってありました(剥がれました)。だいぶ使い込んでいるのもありますが、この色合いや、表面のシボ加工はEastman独自のものらしいです。
ハードケースなのに超コンパクト。飛行機内はもちろん、高速バスの狭い網棚にさえ収まります。内部クッションは楽器型にくり抜かれていて防御力十分。

Img_6486楽器以外にマウスピース1本分のスペースと、オイルやグリス、スワブなどが入る小物入れ(蓋付)があります。僕は楽器の隙間にクロスを押し込み、蓋の内側アンコに鉛筆とクリーニングロッドを差し込んでいます。

ストラップは邪魔なことが多いと感じるので付けていません。持つ(抱える)or 置く、これがシンプルで安全、ラクだと思います。とくにこのケースは極薄なので抱えやすいです。

Img_6487ただ、このケースは持ち手が粗末ですぐに壊れてしまったので、革製の持ち手に交換。

Img_6488また蓋を閉める金具が見た目の割に華奢で、内部のバネが切れてしまったのと、閉め忘れに気付きにくいデザインだったので、もっとシンプルな仕組みの金具に交換。

中古で¥8,000で購入したケースですが、新品は2万円以上と結構するようです。でももし今のものが壊れて使用不能になったら、また同じものを買おうかと思います(何色にしようか選ぶのも楽しそうです)。

|