Ⅴ.楽器

Bach Early Elkhart

僕がいまメインで使っているトランペットはBach180ML 37/25という一見ありふれたものですが、1965年製のアーリーエルクハートと呼ばれるヴィンテージモデルです。

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シリアルナンバーは#31134。創業者Vincent Bach氏が生前、工場をインディアナ州Elkhartに移転して間もない頃のハンドメイド楽器です。
長年信頼を寄せている「TAO」で購入。

現代Bachストラドとの違いは、2ピース構造のバルブケースなど一目でわかるものもありますが、それよりも僕が感じるのは“手作りならではの繊細さ”です。
例えばピストンケースの直近にスライドが接合されています。写真は1番管の接合部で、左が現代Bach、右はアーリーエルク(トリガーがない)のものです。Img_7436各部品が非常に丁寧に組み付けられていて、不自然なズレや傾きがなく、ハンダのはみ出しもありません。そのせいで現代Bachと比べると楽器全体が幾分細身に感じられるほどです。

Img_6957_4この楽器のベルの縁には“角”が見られます。これはおそらくマウントバーノン時代のベルで、フレンチビードの芯金を入れる前に折り曲げてあったのではないかと思います。だとすれば、この楽器全体がマウントバーノン時代のパーツで組み上げられている可能性があります。

ヴィンテージ楽器は現代のものと比べて幾分不器用で、吹きこなすためにはその時代や演奏への理解が要ると思います。1番管にトリガーがなく、リバース構造でないことや、ベル前方寄りに付けられた大きな“のべ座”など、快適な演奏の為にはまだまだ改良を待たなければならない時代の楽器です。実際、音程や抵抗のバラつきはかなりあります。でも現代の楽器にはない“あの時代のラッパの音”があり、トラッド・ジャズを演る者としては吹き応えのある自然な楽器と感じるのです。

このアーリーエルクを手に入れた43歳の誕生日、ただ上手くなりたかったこれまでの自分とはお別れをしました。

ただちょっと心配なのは、ピストン内部の無数の錆。ここから穴が空いて息漏れを起こします。Img_7427 今のところ発見次第アロンアルファで埋めていますが、ゆくゆくは別のピストンを流用することになるかもしれません…アーリーエルクのピストンにはシリアルナンバーが刻印されているので、なるべくこのまま使いたいですが。

手打ちの刻印や飴色に変色したラッカー、手作りの温もりを楽しみながら、取扱いに気を付けてこの楽器を使用しています。これまでのように楽器を征服しようとするのではなく“楽器に寄り添う自分”というのを、このアーリーエルクで初めて味わっています。

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※本来、僕が指向している音楽を踏まえて1930年代の楽器が欲しいところですが、その年代のトランペットで実用に耐え得ると思うものに僕はまだ出会ったことがありません(バルブの動き・音程など)。トランペットという楽器はどうしても寿命が短いようです。

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C.C.シャイニー・エアロケース

トランペットのケースは色々なものが世に出回っていますが、僕は“丈夫でコンパクトなシングル・ハードケースが良い”と思っています。楽器以外の荷物はその時々に応じて鞄を別に持つわけです。
最近の僕が3年ほど使っているケースは、これです。

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C.C.シャイニー・エアロケースと同じものですが、“Eastman”というステッカーが貼ってありました(剥がれました)。だいぶ使い込んでいるのもありますが、この色合いや、表面のシボ加工はEastman独自のものらしいです。
ハードケースなのに超コンパクト。飛行機内はもちろん、高速バスの狭い網棚にさえ収まります。内部クッションは楽器型にくり抜かれていて防御力十分。

Img_6486楽器以外にマウスピース1本分のスペースと、オイルやグリス、スワブなどが入る小物入れ(蓋付)があります。僕は楽器の隙間にクロスを押し込み、蓋の内側アンコに鉛筆とクリーニングロッドを差し込んでいます。

ストラップは邪魔なことが多いと感じるので付けていません。持つ(抱える)or 置く、これがシンプルで安全、ラクだと思います。とくにこのケースは極薄なので抱えやすいです。

Img_6487ただ、このケースは持ち手が粗末で壊れやすく、革製の持ち手に交換。

Img_6488また蓋を閉める金具が見た目の割に華奢で、内部のバネが切れてしまったのと、閉め忘れに気付きにくい外観なので、もっとシンプルな仕組みの金具に交換。

中古で¥8,000で購入したケースですが、新品は2万円以上と結構するようです。でももし今のものが壊れて使用不能になったら、また同じものを買うと思います(何色にしようか選ぶのも楽しそうです)。

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